「トン・トン・トン 宿屋さん、どうか一晩 泊めてください」
司祭 エドワード 宇津山 武志
およそ二千年前のある夜、ベツレヘムの村。ヨセフは身重の妻マリアとともに疲れた身を横たえる場所を求めて宿屋の扉をたたきました。ところが、時のローマ皇帝アウグストゥスから全領土の住民に登録をせよとの勅令で、皆おのおの自分の町に向かったため、どこの宿屋もいっぱいです。何軒目だったでしょうか。気の毒に思った主人が「あそこでよければ」と、ようやく通されたのが粗末な家畜小屋でした。その夜マリアは初めての子を産み、布に包んで飼い葉桶に寝かせました。イエスと名付けられる幼子の誕生の物語です。
あれから随分と月日が流れましたが、今日も泊まる場所を求めて扉をたたく人がいます。神のみ子、世の救い主イエス・キリストです。イエスさまが戸口に立ち、ドアをノックしている絵があります。ただこの絵、どこかおかしい…。お気付きですか?ドアにノブがついていないのです。そう、この扉は内側にいる“あなた”が開けなければ、外に立つイエスさまを迎え入れることはできないのです。そしてもう一つ、ドアを叩くイエスさまの手はとても優しく握られています。家の中があまりにざわざわと騒がしかったら、きっとそのかすかな音は聞こえないことでしょう
「こんなに散らかっているし…」、「こんな粗末なところに…」と、怖気付いたり、ためらったりすることはありません。むしろ、身の丈に合わない金銀の調度品をこそ取り去るようにと、イエスさまはやさしく諭されるに違いありません。
「わたしは世の光である。わたしに従う者は暗闇の中を歩かず、命の光を持つ。」(ヨハネ8:14)
固く閉ざした扉を開きましょう。そこに光が差し込みます。神の霊なる風が吹き込みます。
み子の訪れに感謝!