「窓の上のあれは何?」
聖堂の外装がほとんど出来上がった頃、何人かの信徒に質問されました。「窓の上のあれ」とは、石で出来た飾りです。この質問に簡単に答えると「あれは単なるデザインです。」ということになります。ではこのデザインはどこから来ているものでしょうか?
石の建造物はギリシャ建築に見られる柱と梁の構造が基本となっていました。梁は柱と柱の間隔より長くなければ建物にならなかったのです。ローマ時代にアーチ構造が発明されたことにより、短い石を楔形に削り積み上げることで長い梁を必要としなくなりました。アーチを形作る石を「輪石(わいし)」(アーチストーン、リングストーン)と言い、最後に入れアーチを完成させる中央上部の石はこれを入れることでアーチがびくとも動かなくなることから、その中でも特別な石として「要石(かなめいし)」(キーストーン)と呼ばれるようになりました。
またキーストーンと真横のアーチストーンを他の石より少し大きくしたデザインも見られるようになってきました。聖堂の前と後ろのデザインは正にそのデザインです。
材料の進歩などでアーチ構造でなくても窓や入り口が作れるようになりなっても、このキーストーンをデザインとして入れることで建物がびくともしないと考えたのかもしれません。アーチ石をまっすぐにしてキーストーンを中央に配したのか、ギリシャ建築のまっすぐの梁とキーストーンを融合させたのかもしれませんね。
街を歩く時、洋風建築の窓を見て歩くのも楽しいです。色々なところにキーストーンが配してあります。一番教会の近くにあるのは、教会に隣接する中央公民館(アイセル21)です。
(静岡聖ペテロ教会信徒 白石伸人)
2005年12月に静岡聖ペテロ教会の聖堂・会館、及び牧師館の建築が完了しました。新しい建物の裏話や古い教会には無かった機能などの話を教会報に連載したのがこのコーナーです。新しい教会をより身近なものとして使用して頂けるいいなぁという気持ちで当初数回の予定でスタートし、2年間に渡り、20回連載しました。原文に訂正加筆を加えながら、ここに連載していきます。
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