新しい教会は、銅ぶきの屋根になっています。最初に金色にぴかぴか光っていた屋根が、徐々に10円玉の色に落ち着いてきた経緯は、信徒の皆さんは周知の通り。
銅は別名「あか」と呼ばれるように屋根ぶきした直後は美しい赤橙色で光沢があり、次第に暗褐色、長い年月が経過すると緑青色となります。
1974年位までの小学校の理科の教科書には、銅は有毒であると記載されていました。しかし、1984年8月に、当時の厚生省が銅は無害に等しいと発表しました。
これは、足尾鉱毒事件などで銅は有毒と思われていたのが、その後の研究で鉱毒事件は、銅そのものではなく、銅を精錬する段階で出る有害な砒素や亜硫酸ガスを当時は外に漏らしてしまっていたからだと、分かりました。
しかし、魚などは、ほんの微量溶け出す銅イオンに弱いため、銅ぶき屋根に落ちた雨水を集めた池に鯉や鮒を飼うことは出来ません。また、直接10円玉や銅の塊を飲み込むと胃酸と反応して酢酸銅や二価銅イオンが発生し、これらの化合物は、重い重金属中毒を引き起こします。銅鍋で調理した料理は気にする必要が無いが、銅を直接飲み込むと大変なことになります。
では、建材としての銅には、どのような特徴があるのでしょうか?
熱膨張率が高い・叩くと大きな音がする。このことから雨が銅ぶき屋根に当たる音や温度差での銅版の膨張や収縮による銅版同士がこすれる音は、相当大きいだろうと推測されます。熱伝導率が高いので、夏の熱気や冬の寒さが直接入り込んできます。これらの欠点を補うために野地板(屋根板)と銅版の間には防水シートと断熱遮音材を入れてあります。
銅の特性としては、もう一つ、電気を通しやすいことがあげられます。これにより、雷が落ちやすいのではないかと考えがちです。しかし、銅ぶき屋根も電気を通しにくい樹木も帯電量は同じですので、雷雲に近い、高度の高い方に雷は落ちます。ただし、電気を通しやすい銅ぶきの方が地面に電気をすんなり放出しやすく、樹木への落雷は電気抵抗があるために、電気エネルギーが熱に変わり細胞内の水分が水蒸気爆発を起こし真っ二つに割れたりします。雷模様の天気の場合は部屋の中央にいるのが一番安全です。
また銅ぶきは瓦ぶきに比べ軽いので、地震に強い建物となります。銅ぶき屋根が上品でおもむきのある緑青色となるには、20年ほどかかるといわれています。どのような色になるのか、壁や、屋根の十字架との兼ねあいは良いのだろうか?・・・色々と、今後が楽しみですね。
(静岡聖ペテロ教会信徒 白石伸人)
2005年12月に静岡聖ペテロ教会の聖堂・会館、及び牧師館の建築が完了しました。新しい建物の裏話や古い教会には無かった機能などの話を教会報に連載したのがこのコーナーです。新しい教会をより身近なものとして使用して頂けるいいなぁという気持ちで当初数回の予定でスタートし、2年間に渡り、20回連載しました。原文に訂正加筆を加えながら、ここに連載していきます。
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