≪今月の福音書≫ ルカによる福音書 16:1～ 特定20福音書
不正な管理人
司祭 シモン 長野 睦
9月に入っても暑い日が続いていますが、9月からまたさまざまな行事が続きます。体に気をつけながら日々を過ごしてまいりましょう。
私たちは聖書を読んでいますと、どうしても理解できないところに時としてぶつかります。言葉や当時の習慣に由来することもありますが、そこに意味されている内容が理解できないところもしばしばあります。この「不正な管理人」のたとえも理解の難しいところです。何人もの信徒の方から「不正を働いているこの管理人がなぜほめられているのでしょうか」という質問を受けます。
確かに一般の不正にまみれた社会の出来事ならともかく、少なくとも信仰の世界ではとてもほめられるものではないという思いを持つのは当然でしょう。しかしこのたとえが「弟子たちにも言われた」とあります。財産を無駄使いした管理人が将来の自分の生活保障のために人脈つくりをすることを思いつきます。そして証文を不正に書き換えるのです。不正の上にさらに不正を加えることになります。主イエス様は「この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた」とあります。不正そのものではなく「抜け目のないやりかた」をほめたのです。職を失うという不安と絶望の中にあってその中で無為に過ごすのではなくあらゆる可能性をフルに活用し画策する知恵がほめられる対象になったのではないでしょうか。
光の子ら＝弟子たちや教会は、この時代の現実どう対処しようとしているのかが問われているのかもしれません。主イエス様は弟子たちを派遣するのに当たって、「蛇のように賢く、鳩のように素直であれ」と命じておられる。この現代の社会の中では蛇のような賢さ、あるいはずるさを持って立ち向かっていかなければならない状況もあるかもしれません。しかしそれはとても難しいことです。一つ一つの事柄は祈りの中でその道を示していただけることを信じましょう。神は必ずその道を示してくださることを確信いたしましょう。
