旧建築委員会で、新築か現状の建物を補強改修して再利用かも決まらなかった時期に、古い教会建築の耐震診断を行いました。
旧聖堂の土台は、外側だけはコンクリートでしたが、鉄筋が入っていませんし、亀裂がいたるところで発見されました。それ以外の土台は、漬物石程度の石の上に、柱を立てた簡単なもので、長年の使用で、地面に沈下しているところもありました。そして、度外が交わる所に、斜めに入るべき梁はありませんでした。
柱は、モルタルのひび割れや、屋根からの雨漏りなどにより、腐っているところもありました。最大の驚きは、会衆席右一番前の単独の柱と天井の梁がずれていたことです。建てたあとの地震などで、ずれたのではなく、百年前の建築時か、50年前の移築時に、何らかの理由でこのように建ててしまったと考えられました。
総合評価は、旧聖堂が0.21、会館が、0.04、最も良かった旧牧師館でも、0.7を下回っていました。評価数字は、「1.5以上が安全と思われる」「1.0以上~1.5未満が一応安全だと思われる」「0.7以上~1.0未満がやや危険と思われる」「0.7未満は、倒壊または、大破壊の危険がある」となっていました。
どの建物をとっても、このままでは大変に危険な状態で、特に会館の評価数字は、一桁低く、瞬時に倒壊してしまうことが予想され、愛餐会で、おちおち食事をしている場合ではないぞ、椅子には浅く座り、つま先加重で、逃げる準備をして食べなくてはならないと、冗談抜きで感じました。
この耐震診断の結果、仮に古い建築を補強改修できたとしても、ほとんど全部を作り直すのと同じで、新築とあまり変わらない費用がかかることがわかりました。これにより、教会の新築へと、建築委員全員の考えが固まりはじめた大きな転機になったわけです。
そうやって建った、今現在の新しい建物は、耐震にも優れ、起きて欲しくはないものの、もしも大きな地震があったときには、避難所や、救援の窓口になれるようなスポットとして活用できるのではと期待しています。
信徒の皆様も、この機会に耐震診断をやってみてはいかがでしょうか。昭和56年(1981年)5月31日以降に建てられた木造住宅であれば、無料で(2007年当時の静岡市)診断が受けられます。
(静岡聖ペテロ教会信徒 白石伸人)
(※この文章は、2007年9月に教会報に掲載されたものです。)
2005年12月に静岡聖ペテロ教会の聖堂・会館、及び牧師館の建築が完了しました。新しい建物の裏話や古い教会には無かった機能などの話を教会報に連載したのがこのコーナーです。新しい教会をより身近なものとして使用して頂けるいいなぁという気持ちで当初数回の予定でスタートし、2年間に渡り、20回連載しました。原文に訂正加筆を加えながら、ここに連載していきます。
過去の「進め!建物探検隊」の記事
twitterで発信してます。