静岡聖ペテロ教会(日本聖公会横浜教区)Shizuoka St.Peter's Anglican Church, Shizuoka

TEL054-246-8013 早朝聖餐式 午前7時30分~、午前10時半~ Regular Sunday Services 7:30a.m. / 10:30a.m Eucharist

月報8月号巻頭言

神の世界のための神の教会
司祭 エドワード 宇津山 武志

7月26日から8月8日にかけて、全聖公会の主教たちが英国カンタベリーに集い、共に祈り、学び、福音宣教における課題を共有する「ランベス会議」が行われます。第1回は1867年、以後ほぼ10年ごとに行われ、今回で15回目。前回は2008年で、本来は2018年に予定されていましたが、女性主教の按手や同性愛について、主にアフリカの諸教会と欧米の諸教会との間での意見の対立、さらに新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、今年の開催となりました。現在英国では新型コロナウイルスの感染者数は低く抑えられていますが、気温が観測史上最高となる40度を記録するなど、熱波に見舞われています。英国の建物にはエアコン(冷房)がほとんどなく、大変だろうなと思います。会議ではロシアによるウクライナ侵攻についても議題にのぼるでしょう。さまざまな困難を乗り越えて、わたしたちの歩むべき道を示す実り豊かな集いとなるようにと願っています。
さて、今回のランベス会議のテーマは「神の世界のための神の教会(God’s Church for God’s World)」です。このテーマについて考えてみました。
この世界が神のものであるということ。教会もまた神のものであり、教会は神のものである世界のために存在するということ。もう一歩進めると、そこに生きるわたしたちの命も神のものであり、わたしたちは神のために、神の世界のために生きるということだと思います。テーマというのは、そこにわたしたちの思いや意識、行動をフォーカスするためのものです。だとすれば、それはわたしたちの思いや行動がそこから離れているということの裏返しであるとも言えます。すなわち、この世界、教会、命を「わたしのもの」としてしまう人間の傾きを示していると。温暖化や侵略といった大きな問題ばかりでなく、わたしたちが日々直面するさまざまな問題の原因を、わたしたちは主イエスさまによって示された福音のレンズを通してここに見出していくことができると思うのです。
「タラントンのたとえ」(マタイ25:14〜30)。ある人が僕たちに財産を託して旅に出ました。ここに三人の僕が登場します。最初の二人は預かった財産(タラントン)を用いて商売をしました。しかし三人目は「出て行って穴を掘り、主人の金を隠して」おいたのです。主人は「かなり日がたってから」帰ってきました。“忘れた頃に”といったイメージが思い浮かびます。最初の二人はその間に殖やしたものとともに主人にお返ししましたが、三人目はそれを穴から掘り返し、そのままお返しするのです。主人が託した“タラントン”は“タラント”すなわち“賜物”と解釈されますが、少し飛躍するれば、“神さまとのつながり”と理解することもできます。二人はいつ帰るともわからない主人との繋がりの中で生きましたが、三人目はそれを土に埋め、全く無縁であるかのように生きました。イエスさまがこの世に来られたことの意味は、みかたちに似せてつくられた人が神とのつながりの中で生きていく世界の回復です。
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