「今」を生きる恵みの中で
牧師 司祭 パウロ 窪田真人
聖霊降臨後第14主日の週土曜日の9月20日。神戸教区主教座聖堂聖ミカエル大聖堂において、司祭バジル八代智師が、使徒継承による主教按手を受けられ、約400名を超える会衆に見守られる中、神戸教区主教に着座されました。祖父・八代斌助主教、父・八代欽一主教に続き、三世代にわたり多くの民を導かれるという事は、まことに大きな恵みであり、同時に深い祈りを必要とする重責でもあります。
わたしにとってバジル師は、単なる指導者ではなく、洗礼を授けてくださった恩師であり、信仰の道を示してくださった大切な師です。24年前、私が高校生の頃、今は亡き池原貞雄司祭や当教会元牧師・清家智光司祭らによって心に蒔かれた小さな信仰の種は、バジル師を通して実を結び、私をキリスト者として育ててくださいました。
振り返れば、その歩みは常に恵みに包まれていました。神戸教区で長く仕えられ退職の後に、垂水伝道所で礼拝を守っておられた杉野貢司祭(ご令孫は現職の神戸教区司祭)をはじめ、聖書を教えてくださった先生方や、信仰の父母、横浜教区での先輩聖職、共に祈る仲間たち――血のつながりに関わらず、多くの方々が身近で信仰を分かち合ってくださいました。私は初代のクリスチャンですから、実の両親から教会の歩みを受け継ぐことはありませんしかし、先述の出会い一つひとつが、神様からの贈り物であり、わたしにとってかけがえのない「信仰の継承」でした。
信仰というお恵みは誰のもとにも神が豊かに与えてくださる恵みであると私は確信しています。そして、いただいた恵みを次の人へ分かち合う時、わたしたち一人ひとりが「歴史を紡ぐ者」とされます。先人たちがささげてこられた祈りと働きに心から敬意を表しつつ、わたしもまた、その歴史の中に名を連ねることができることを誇りに思います。
どうか皆さんも「今」という最良の機会を大切にしてください。神様の愛を伝える歩みは、小さな一歩から始まります。共に祈り、共に励まし合いながら、主が備えてくださる喜びを分かち合ってまいりましょう。
