≪今月の福音書≫ ルカによる福音書 17:18
感謝、賛美のために
牧師 司祭 シモン 長野 睦
本日選びました福音書は、10人の重い皮膚病にかかった人の話で、主イエス様によって癒された10人のうち唯一人のサマリヤ人だけが感謝のために戻ってきました。そして「あなたの信仰があなたを救った」と言う御言葉を頂いた話でした。そして「他の9人はどこにいるのか。この外国人のほかに神を賛美するために戻ってきたものはいないのか」との嘆きの言葉が記されています。
ご承知のように、「重い皮膚病」と記されているハンセン病は今日の日本では絶滅に近い病気でありますが現在でもなお世界中の多くの地域では発症例があります。現在は特効薬があり正しい治療をすれば決して恐ろしい病気ではありません。しかし当時は非常に恐ろしい病気でした。さらにこの病気の苦しさのみならず、それが宗教的な罪の結果であると考えられていたのでその苦しさは耐えがたかったであろうと思われます。病の癒しをあれほど熱心に求めていた彼らは、清められるとすぐに主イエス様のみ業を通して神様の力に感謝することを忘れてしまったのです。すぐに神様に感謝、賛美したのはサマリヤ人一人でした。
この物語の強調点はハンセン病の癒しという奇跡に強調点が置かれていないことがわかります。もちろんそれも大きな要素には違いないのですが、病気そのものの癒しよりも、その結果が大事なことに気付かされます。癒された10人のうち唯一人だけ帰ってきて神様を賛美した。そして主イエス様の「あなたの信仰があなたを救った」との御言葉があるように、「救い」と言うことに重点が置かれています。
神様のさまざまな恵みの賜物は等しく与えられます。しかしそれだけでは体の癒しだけで魂の救いにはいたりません。感謝、賛美があって初めて救いが与えられることがわかります。わたしたちはこのことを心にとめたいと思います。
※次回更新は、11月15日(月)頃の予定