≪今月の福音書≫ 聖マルコによる福音書 1:40〜
回 復
牧師 司祭 シモン 長野 睦
今年は復活日が4月8日ですので顕現節は第6主日で終わります。この日の福音書は重い皮膚病を患った人の話でした。この福音書の記事からこの日は管区総会でハンセン病啓発の日とされています。この病気は長い歴史の中でさまざまな偏見と差別を伴った病気とされてきました。現在、日本ではこの病気はほとんど絶滅したと言われていますが、外形的に変形してしまうという後遺症から今なお差別のために苦しんでおられる方が多くおられます。この病気はかつての日本でもそうであったように昔のユダヤでも非常に恐れられ、事細かな規定が定められておりました。さらに単なる病気にとどまらず罪の穢れ、罪の結果の罰と考えられていました。病気の苦しみと社会的な苦しみという二重の苦しみを負わされていました。
主イエス様と弟子たちはガリラヤ全土を巡り神の国の宣教に励んでおられたとき、重い皮膚病をわずらっている一人の人に出会います。イエス様はその人を見て「深く憐れんで、手を差し伸べてその人に触れ」とあります。律法に禁じられているこの行為は、この病人に対する深い、強い憐れみのお心があったことを推測できます。
主イエス様は彼を隔離し、差別するすべてのものに対して「否」と宣言し、その人の人間性を回復する行為でした。その後のこの病人に対する言葉からも主イエス様の行為は「人間性の回復」、言葉を変えれば「人権の回復」と言うことであると思います。神に造られた人間は、本来の人間性が十分に守られ、発揮されるものであって、それが抑圧されたり、疎外されたり、差別されるものではありません。そこに主イエス様のみこころがあると思います。
まもなく大斎節に入ります。私たちもすでに回復されたものであることを感謝しつつ。祈りの生活に励んでまいりたいと思います。
※次回更新は、2月15日(水)頃の予定
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