≪今月の福音書≫ ルカによる福音書 20:34~ 特定27福音書
「教会暦最後の月に」
牧師 司祭 シモン 長野 睦
11月に入り、今年も教会暦最後の月を迎えました。12月1日から新しい教会暦である降臨節に入ります。今年も教会暦最後の月を共に励んでまいりたいと思います。
本日の福音書は、ファリサイ派、サドカイ派の人々との復活に関する論争が記されています。ここでは申命記25章にある律法、ある人が子どもを残さずに死んだ場合、弟はその兄のために代わって子どもを残さなければならないというものです。この7人の夫を持つ女性の話はイエス様の時代どれほど厳密に守られていたかは不明ですが、よく知られた話であったかも知れません。
復活の世界がこのように、この世との延長の上にあるとすれば当然起こる疑問であり、矛盾です。主イエス様はこの世と次の世との関係が全く同じ内容を持つのではなく、この世の論理や関係を次の世に持ち込むことは不可能であることを教えています。次の世では「めとることも嫁ぐこともない。この人たちはもはや死ぬことがない。天使に等しいものであり、復活に与るものとして神の子だからである」と記されています。次の世、新しい世界では全てが神の子として死のない世界に入れられるために、もはや結婚の必要はないというのです。確かに死後の世界は私たちには分かりません。ただ、とかく死後の世界にあってもこの世の人間関係が永遠に続くかのように思いがちです。そうするとさまざまな疑問や不合理さが出てきてしまいます。死は人間の最大のなぞです。恐れの対象です。どんなにそれから目をそらそうとしても死の現実は私たちの目の前にあります。しかし私たちが主イエス様から与えられている福音は罪と死からの開放です。一年の教会暦最後の月はこの私たちの最後について思いを寄せる時でもあります。深く黙想しながら感謝のときを共に過ごしてまいりましょう。
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