マタイによる福音書 4章1節〜
「大斎節に向けて」
牧師 司祭 シモン 長野 睦
今年もまもなく大斎の期節に入ります。今年はイースターが4月24日と最も遅い日付になりますので大斎始日も3月9日と遅く始まります。今年の大斎節も共に修養に励み、喜びのイースターをお迎えしたいと思います。
毎年大斎の第1主日の福音書は、主イエス様の荒野での40日間の断食と修養そしてその最後に当たっての悪魔からの三つの試みの物語を学びます。主イエス様はこの荒野で今までのご生涯を振り返られたのでしょうか。あるいはこれからなすべき神の子としてのお働きに思いを寄せられたのでしょうか。
主イエス様にとっての荒野は今までの家族中心のご生活から、その家族を捨て、神の国のため、神の福音のために働かれる前の準備、そのための試みの場所でありました。その最後にあたっての悪魔の誘惑も神の子としてのお働きに関するものでした。人びとにパンを与えることの意味、ご自身への神の御守りの確認、そしてこの世的な繁栄への誘惑。ご自身の働き方への迷いがあったのかもしれません。しかし、主イエス様の最後の決断は神をのみ拝むことと神にのみ仕えることだったのです。そして主イエス様の宣教の第一歩が踏み出されます。
主イエス様はご自身に従おうとする弟子たちに向けて再三再四、自らの十字架を背負うように警告しておられます。主イエス様に従う道とは自らの十字架を背負って十字架に向かう道です。決してたやすい、健康や富や幸福といったものであふれるように満たしてくれる宗教ではありません。キリスト教はまさしく“十字架の宗教”と言うことができるでしょう。しかしそれは単なる苦難や試練のみで終わるのではなく、そのときにこそ神による、主イエス・キリストによる信仰の勝利が約束されているのです。
大斎節はこのことを学ぶ期節です。私たちは今年の大斎節も祈りとみ言葉の学びと黙想を通して主イエス様に従ってまいりたいと思います。
※次回更新は、4月14日(木)頃の予定