静岡聖ペテロ教会(日本聖公会横浜教区)Shizuoka St.Peter's Anglican Church, Shizuoka

TEL054-246-8013 早朝聖餐式 午前7時30分~、午前10時半~ Regular Sunday Services 7:30a.m. / 10:30a.m Eucharist

月報聖ペテロ巻頭言

残された日々を数えることを教え知恵の心を与えてください (詩90:12)
司祭 エドワード 宇津山武志

9月8日、英国のエリザベス女王が逝去され、19日にウェストミンスターアビーで葬儀が執り行われました。テレビで全世界に放送されましたので、ご覧になった方も多くいらっしゃることでしょう。内容としては“伝統”を強く意識したものであると同時に、祈りには諸教派の代表者も加わり、現代の英連邦のありようと教会のエキュメニズムへの配慮もなされていました。全体として“よく準備された”という印象で、女王陛下のご自身の葬儀へのご意向もしっかりと反映されたものだと感じました。「残された日々を数えることを教え、知恵の心を与えてください」という詩編の言葉が浮かびました。
葬儀には聖歌隊による詩編のチャントやアンセムのほかに、会衆が歌う聖歌が3曲選ばれていました。「この日も暮れゆき」(32)、「天なるよろこび」(詞491・譜341)、「主はわが飼い主」(461)と、わたしたちもよく知る聖歌で、聖公会で長く信仰生活を送られた女王のお思いを感じるものでした。
ここで、“おやっ”と不思議に思う方もおられることでしょう。それは最初の曲、「夕の礼拝」で用いる聖歌だからです。ただ、その歌詞を読み想いを深めていくとき、やはりその曲のふさわしさが沁み入ってきます。より美しい古今聖歌集(195)の詞で味わってみましょう。
1 この日も暮れけり 今朝讃えしごと
今宵も恵みを 歌いてぞ憩わん
2 光にむかいて めぐる地とともに
み民は目覚めて み名を讃めまつる
3 海、山、島々 あまねきみ民の
讃め歌の声は 夜も日も絶えせず
4 世の国うすれど み座は堅く立ち
とこしえの国は いやまし栄えなん

一日の終わりの祈りと感謝と賛美は、一生の終わりの祈りと感謝と賛美へとつながるということを改めて深く感じます。特に4節で、世の国の君主の唇にこの祈りがあればこそ、これほどまでに愛されたのでしょう。

「自分の葬儀なんて縁起でもないこと考えるな」と、一昔前なら叱られたと思いますが、“こんな聖歌で送ってほしいな”と考え、司祭と相談しておくのは、信仰の生涯を歩んでいく上でとても有益なことだと考えています。“自分はこの歌が歌うように生きてきた”などとは思えずとも、少なくともこうありたいという道案内のようにはなってくれるのではないでしょうか。わたしたちに必ずやってくる終わりの日を、ただ目を背け、耳を塞いで思考の外に置くのではなく、受け入れて生きる糧にできるとしたらそれは素晴らしいことです。送る側も、去っていく人の心にこだましていた祈りの言葉が、その人のそれからの生涯を変えるメッセージとさえなり得るのです。


静岡聖ペテロ教会HPへ
facebook twitter