電気で大きな部屋や数多くの部屋の冷房や暖房を行うためには、大容量の電気の契約となります。教会のように、1週間に1回程度しか、このような使い方はしないのであれば、この電気契約そのものがもったいないということになり、ガスヒートポンプ(以下、GHPと表記)の空調を選びました。
ガスで冷房をするということを解っているはずでしたが、頭の中に「?」がいくつかあるのは私だけではないと思います。そこでその原理のおさらいをしたいと思います。
冷静に考えると「ガスでエンジンを回転させ、これにより冷房する」ということは、「ガソリンでエンジンを回転させ、冷房する」自動車の冷房と同じということに気が付きますが、もう少し冷房の原理を考えていきましょう。
液体は蒸発する時に(容積が大きくなる時)周りから熱を奪うという性質があります。これは注射する時に腕にアルコールを塗ってもらうとヒヤッとするのと同じです。もう一つの性質は、圧縮すると(容積が小さくなる時)高温になり熱を放出する。これは自転車の空気入れが熱くなるのと同じです。室内で「出入り口の無い自転車の空気入れ」のポンプのレバーを引っ張り、中の空気を膨張させ周りから熱を奪った後に、外に持って行ってから、レバーを押し込み、空気を圧縮して熱を放出させる。これを繰返せば室内の温度が下がるはずです。
実際のGHPは、空気より効率の良い冷媒を用いて、次の繰り返しを行います。
①低温・低圧の液体が室内機で気化(膨張)して熱を奪い低温・低圧の気体になる。
②低温・低圧の気体がコンプレッサーという部品を通り圧縮され高温・高圧の気体になる。
③高温・高圧の気体が屋外機で熱を放出し常温・高圧の液体になる。
④常温・高圧の液体が膨張弁という部品を通り膨張して圧力が下がり低温・低圧の液体になる。
①〜④を繰返すことにより室内が冷やされることになります。
暖房はこの逆です。室内で熱を放出し、屋外で熱を奪うのですが、ガスエンジンの排気熱も利用するので、ガスを直接室内で燃やすガスストーブより効率(燃費)が良いといわれています。
気になるのは、冷媒によるオゾン層の破壊ですが、最近はオゾン層をほとんど破壊しない冷媒を使用しているそうですが、代替時には冷媒を抜き取った後に処理してもらうことが必要と考えます。
建物より寿命が短いGHPですが、あまりもったいないからと使わずにいるよりは、機械は時々使った方が寿命がかえって延びると聞きますので、温度設定で少し節約をして暑い時や寒い時には、ぜひ使っていただきたいと思います。
(静岡聖ペテロ教会信徒 白石伸人)
2005年12月に静岡聖ペテロ教会の聖堂・会館、及び牧師館の建築が完了しました。新しい建物の裏話や古い教会には無かった機能などの話を教会報に連載したのがこのコーナーです。新しい教会をより身近なものとして使用して頂けるいいなぁという気持ちで当初数回の予定でスタートし、2年間に渡り、20回連載しました。原文に訂正加筆を加えながら、ここに連載していきます。
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