新しい教会を建築する上で、最も重視した一つが、「バリヤフリー」でした。
書記の建築委員会では、「バリヤフリー」という意味もあまり分からずに、「玄関で靴を脱ぐぐらい簡単だから、今まで通り靴を履きかえよう」などの意見が出るぐらいで、この件に関しては、認識がかなり甘かったと言えます。
完成した建物は、道路や駐車場からは、階段だけではなくて、スロープで玄関ポーチ、礼拝堂には手すりをつけました。
当初、聖堂の手すりを有効に使いたいと考えて、陪餐を受けるときに、手すりづたいに祭壇前に出られるようにと、オルガンを会衆席後部に配置しましたが、司祭とオーガニストとのコンタクトの問題や、季節によって太陽光が直接オルガンや、オーガニストに当たるとまぶしいため、今現在は、オルガンを、会衆席全部の祭壇のそばにしました。そのため、手すりを有効に使えなくなっています。これは今後の課題と考えています。
身障者用トイレは、男性用トイレと共有としたため、当初は数が足りないのではないかと思っていましたが、今のところ、それほど不自由はしていないと感じています。ただしこれからは、多目的トイレとして、ベビーシートやオストメイト対応設備(汚物流しなど)を併設する必要が出てくるかな?と思います。
新しい礼拝堂が完成してから少したって初めて、当時80代の母親を主日礼拝に連れてきたときに、母が「靴を脱がなくてもよいの?これは楽だね!」と言ったのを聞いたとき、これでよかったんだと、ほっとしました。
ただしバリヤフリーについては、これでもう完成ということではなくて、今後もいろいろに考えていく必要があると思います。そういう意味では、まだまだ発展途上のバリアフリーだと言えるでしょう。多くの方の意見を聞きながら、よりよい用い方をしていくことが、今後ももとめられていくはずです。
(静岡聖ペテロ教会信徒 白石伸人)
(※この文章は、2007年8月に教会報に掲載されたものです。)
2005年12月に静岡聖ペテロ教会の聖堂・会館、及び牧師館の建築が完了しました。新しい建物の裏話や古い教会には無かった機能などの話を教会報に連載したのがこのコーナーです。新しい教会をより身近なものとして使用して頂けるいいなぁという気持ちで当初数回の予定でスタートし、2年間に渡り、20回連載しました。原文に訂正加筆を加えながら、ここに連載していきます。
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